楽園追憶

日々のオタクコンテンツの感想や、昔のpcゲーについての思い出を書くブログ

Fate/stay night SS感想『HAPPINESS』

 『HAPPINESS』というFate/stay nightのSSを読みました。
 とても感動したので感想を書きます。


静かで綺麗で悲しくて、そして、心に響く作品

 当然の結末を衒うことなく、ただ読ませる作品にするというのは出来そうで出来ないことで、感想さえ思うように書けない身としては、筆者の山口遼氏には感嘆と羨望の念を禁じえません。

 文中で使用される言葉はシーンごとによく選別されていて、とても質の高い文に仕上がっています。まさに玉。
 特に、イリヤが自らの胸中を明かすシーンの「啼く」という表現、「言う」でも「泣く」でもない「啼く」。
 ぎゅっと胸を掴まれたような思いがしました。
 イリヤの、絞り出すような囀るような一言を表すのに、これ以上相応しい表現があるでしょうか。

 …この「啼く」という言葉にこんなに揺さぶられたのは、私がイリヤという少女に持っていた”小鳥”のイメージにぴったり合致するものだったからだと思います。
 白くて元気な小鳥。
 愛らしく、儚く、自らの弱さ故に時に残酷、自らの強さ故に時に優しい小鳥。

 自分は文を”流れ”としてみることが多く、”流れ”の中、言葉一つに胸をつかれるという経験がなかっただけに、作品中の一つ一つの言葉に心を揺さぶられる自分に驚いています。もちろんそれは、言葉が単語ではなく、流れの中で生きているからなのですが、流れの中に歴然と、それでいて違和感なく言葉を散りばめられるというのは、非凡としか言いようがない。

 『HAPPINESS』のような作品に出会ったとき、いつも思うのは、どうして人は時に悲しい物語を求め、その悲哀を(語弊があるかもしれませんが)愉しむのか、と。
 悲哀に共感し悲しみつつも、それを求めている自分がかならずいます。
 言峰のように「人は他人の不幸を好むのだ」とは思いたくありません。
 たぶん、人は絶対的と思える運命に押しつぶされそうになっても、そこに希望を見いだすことを喜ぶのではないか、と。

 『HAPPINESS』は間違いなく悲しい作品だと思います。
 けど。
 イリヤが、最後の時、士郎の言葉に”生”という希望を見いだしてくれたと信じたいです。
 そして。
 イリヤが過酷な運命の中に希望を見いだした、ということに”希望”を見ることがきるのではないか、と。

 そんなことを思いました。

 ……やはり、感想は苦手です。いくら書いても、自分の感じたことを伝わるような文になっているような気がしません。
 しかもダラダラと長く……まさに、過ぎたるは及ばざるがごとし。

 悲しい話が苦手、という人もいるかもしれませんが、是非、Fate/stay nightをクリアした人には一読してほしい作品です。

www.geocities.co.jp